治部(じぶ)とは石川県金沢市の伝統料理で、鴨肉を使用した郷土料理です。加賀地方では鴨肉は古くから高級食材として親しまれ、幕府に献上されるなどの歴史があります。
治部煮は醤油、砂糖、酒などを使った出汁で鴨肉、根菜、豆腐、加賀特産のすだれ麩と一緒に煮込んだ椀物。じぶ椀に盛り付けられ、薬味としてワサビを添えます。天盛りにされた風味豊かな本わさびをダシ汁で溶くと、さわやかな辛みがやわらかな鴨肉と調和します。
鴨鍋との特徴的な違いは鴨肉に小麦粉をまぶすことで、大きめのそぎ切りにした鴨肉に小麦粉をまぶし、肉の旨みを閉じ込め、つるりとした滑らかな食感に仕上げます。一口噛むとコクのある鴨のエキスが口の中に広がり、後味はさっぱりとしています。
汁にとろみがつくため寒い冬でも体があたたまります。脂ののった新鮮な鴨肉を使うため、鴨猟が解禁される11月から2月の間に食べられることが多いです。
鴨肉は高級食材のため、合鴨や鶏肉などで代用される場合もあり、季節によっては旬の魚介を加わることもあります。
鴨鍋
海の幸、山の幸両方に恵まれた金沢では、その豊かな自然が育んだ四季折々の美味しい食材が実に豊富。鴨もその一つです。伝統的な猟法で捕獲した鴨を使った由緒ある郷土料理「鴨鍋」は、新鮮な鴨肉の美味しさをダイレクトに味わえる絶品鍋。
歴史・由来
江戸時代から広く食べられていたとされる武家料理です。発祥は諸説あり、キリシタン大名の高山右近が宣教師から教わり加賀藩に伝えたという説や豊臣秀吉の兵糧奉行として従事した岡部治部右衛門が朝鮮から伝えたという説、漂流したロシア人が伝えたという説などさまざまです。
名前の由来についても諸説があり、鴨肉をじっくりと煮込むことから「じぶじぶ煮る」という名前がついたという説もあります。
【食べるシーン】
結婚式などの祝いの席で提供されることが多いです。
【提供店】
石川県金沢市内の多くの料理店で楽しむことができます。
主な伝承地域:石川県全域
主な使用食材:鴨肉(鶏肉)、すだれ麩、わさび、せり、しいたけなど
旬の時期:11月から2月